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八日目 日記

放り投げられた正六面体がグラスの中を転がる。
高く涼しい音を反響させて一から六の数字を示す。
ちょうど彼らと同じ人数。調和数。

「なにしてるんですか?」
「なにしてると思う?」
「……暇つぶし?」
「あはは、なるほど。間違ってはいないかな……。
 ちょっとさゲームしようよ。奇数か偶数当てるゲーム」

カラカラとグラスの中を巡るダイス。
それを見ながら紗雪は思考を巡らして気軽にこたえた。

「それじゃ……奇数で」
「――外れ。当たるまで何回かかるかな?」

悪戯を思いついたような微笑を浮かべてゲーム内容が変化する。
む、と多少の意地を張って紗雪が応じる。

奇数・偶数・偶数・偶数・奇数・奇数・偶数・偶数……。
10回以上もやって一回もあたらず。口を結んで眉を寄せる紗雪。
涼しい音が何度も巡る様子に他の仲間も覗き込んでいる。
十二回の予想を外した紗雪が、口を尖らせるようにつぶやいた。

「もしかしてイカサマしてるんじゃないですか」
「もちろん」

マイトはグラスの中でダイスをもてあそびながら肩をすくめる。
文句と非難の視線を避けるように紗雪の前に静かに置いたグラス。
その中のダイスが魔方陣を描き出すと、火を灯して解けて消えた。

「巧くやるなら正攻法だけじゃ難しいからね……イカサマするのさ」

テーマ : 栗鼠ゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

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