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【四話(後) / 夢を 繋ぐ(fin)】

【注】
いきなり文章が前面手直しされたりもしますが
「ちっ、あいつめしくじりやがったな! ファック!」
と、寛大な心で胸の内に留めて置いてください。

【四話(後) 登場人物】
Eno:0721 マイト・カルフール(Axion長 魔術師人形)
Eno:0015 エウリーネ・ティニア(Axion副 羽根つき歌姫)
Eno:0054 クレイグ=レイヴァース(Axion副 古代種戦士)
Eno:0214 月城 紗雪(Axion 羽根つきお嬢様)
Eno:0314 葛葉 玖条(Axion 戦闘狂化け狐)
Eno:0704 ベラ・ベアトリクス(Axion 守銭奴)

Eno:0023 キルリア=F=スーサイド(電子の少年)
Eno:0094 ヴィルヘルム=インフラブラック(地霊鎧)
Eno:0231 鴉丸 蒼夜(夢幻の描画魔術師)
Eno:0358 斎白龍(因果の向こうで)



< * * * >


【四話(後) / 夢を 繋ぐ(fin)】

 他人の痛みや怒りが想像できたとき、心に理解が生まれる。
 心に理解が生まれたとき、ひとりひとりの孤独の量はいくらか減る。

「お疲れさん。皆帰ったな」
「そこらで寝こけてる人もいるけどね」
「毛布、たりないぞ」
「自己責任。放っておきましょう……もう疲れた」
「そうだな、でもちょっとだけいいか。皆」
マイトは改めてパーティメンバーを集めた。全員騒ぎ疲れた後が見えるが、それは悪いものではないと感じる。咳払い。一人一人に視線を投げる。
「クレイグ=レイヴァース……実は最初君のことが苦手だった。理由は色々あるんだが、武器を創り出す姿に少しね。でもその力に助けられたことには違いない。僕よりも指揮取りは君のほうがあっている。もし気があるならこのパーティの指揮権は君に譲るよ」
「辞退する。中心の二人が抜けたのに維持する必要はないさ。それに……それぞれやりたいことが違って来ているかもしれない。いい機会だ、暫く自分をみんな見詰めなおすさ」
「……皆もそれでいいのか?」
「二人がいなくなってからのことは、まだちょっと……」
紗雪の同意に周りも並んだ。マイトも頷いて視線を滑らせる。
「月城 紗雪……君はほんとに浪費家だったなぁ。わがままも多かったし。でも物事の飲み込みのよさは随一の生命線でもあった。武芸百般修めるつもりかと思ったほどに、いや本当。頼りになったよ、実際どこでもやっていけると思うしね」
咄嗟に開きかけた口をつぐみ、飲み込んで。紗雪は膝元で手を重ねて押し黙った。聞き回りに徹するということか微笑みかけて、また視線をずらす。
「葛葉 玖条……短い付き合いだったな。シャイのあとに、こんな暴れん坊がくるとは思わなかったよ。今更言うこともないけどさ、君ならもっと強くなれるよ。どこまで行くのか見てみたくもあったのが、少し心残りかな」
「いつか、強くなった確信を得たら会いに行ってやるよ。せいぜい長生きしてくれ」
挑戦的に前のめりな笑みを浮かべるのは、いつもの様子だ。だが今日は言葉が少しくすぐったい気もするのは意識のしすぎか。
「ベラ・ベアトリクス……エウリーネと会う前だったら惚れてたかもしれないな? そうなってたら大変だったろうけど。彼女とは違う意味でサポートで忙しそうだ。え、あ、お、ちょっと、冗談って、なにこれ」
「まあいいから、とりあえず飲み直しましょう。皆も1杯くらい付き合いなさい」
ズズイと彼女が顔を近づけてきて、マイトは身体を退いた。目の前に突き出された顔はその様子を見て笑うと、なにかをマイトに押し付けてきた。酒で満たされた杯を受け取る。全員に配られた。
「騒がしいのもいいけど、この六人で乾杯しましょ」
彼女の音頭で、杯を掲げる。
「今宵、素晴らしいときに」

その酒は火の味がした。
耐性のないものはぶっ倒れて、二人が酩酊。二人はけろっとしていた。
酩酊状態のレイは見えないものと会話をはじめ、マイトは泣き崩れている。
「僕は、幸せものだなぁ」
ぐずぐずと鼻をすすりながら涙が止まらない彼を見て、次第にベラも感情を吐露し始める。玖条はその様子を笑いながら見守って……朝を迎えた。

 絶望を口に出すと、とても甘い味がする。
 人を壊す種類の甘さだ。砂糖のたっぷり入った炭酸飲料と同じ。
 ぼくはそれがどんなに美味しくてもそれで身体を満たしたくはない。
 悲劇のヒロインぶる女の子は嫌いだけど、悲劇は世の中に確かに存在する。
 希望は嘘の線上にある。嘘つきが泥棒なら、ぼくは泥棒でかまわない。

朝、仲間の荷物にマイトは銅貨を忍ばせた。それは価値はあるが値打ちはない。異世界の貨幣のレプリカで魔術媒介でもある。彼が外界から持ち込めたものは少ない。その中で配れるほどのものといったらこれくらいしか無かった。顔を洗って、喧騒を忘れた静かな浜辺に腰を下ろした。
「いるんだろ?」
「ご明察――スルドクなったネ」
「君には本当に感謝する。会心だった……僕は今日島を離れるよ」
「アレは公平な取引だったヨ、ハードの問題はどうしようもならなかったネ」
「でも君のこと好きになったよ」
「スゴク主観的な話ダ」
「もちろん僕の趣味さ。許せることが増えたんだ」
「なにか複雑な話ダネ」
「ふふふ、一本とった気分だな。本当にありがとう」
キルリア=F=スーサイド、電子の少年に向かってマイトは微笑むと仲間に配った銅貨と同じものを指先で弾いて投げた。そのまま振り返らずに歩き出す。
「またね」

船着場に彼等が着いたのは昼も過ぎた頃だった。騒ぎすぎた所為か気分爽快とは言い難い気だるさを背負っていたが、深呼吸と潮風に少しずつ癒されていく。時間はまだある――そこに見知った姿を見つけた。
「地霊の……」
「残念だな。手合わせ願えると思っていたのだが、棄権とは」
ヴィルヘルム=インフラブラックは重厚な鎧の底から重い声を震わせた。マイトは苦笑する、改めて見せるまでもないが隻腕……実際のところは両手損壊の有様を示す。
「この体です、大会どころか島を去るところですよ」
「噂は、聞いている」
「ろくでもないですよ、それも」
「ふむ……だがやはり惜しいな」
「実際、僕等じゃ貴方達には敵わないと思いますよ」
「勝ち逃げされた気分もあるのだがな?」
「ああ、それは……僕も、そんな気分です」
最後に不敵に笑う、それで得心を獲たのかヴィルヘルムは身体を震わせた。笑いを噛み殺すような、なにかを見渡すような動きであった。そうしてゆっくりと歩み去っていく。
「達者でな」

その重厚な鎧姿と入れ替わって、今度は蒼い髪の男が現れた。
「お久しぶり、間に合ってよかったよ」
「君は――鴉丸 蒼夜。コレで聞いたのか、おしゃべりな人形だなぁ」
腰にぶら下げた人形をコツンと叩く。人形はイヤイヤと逃げるように身体を振った。この人形には意思があり、中継してお互いの情報が筒抜けになるときがある。なんでこの二人が持っているのかは……偶然という以上の説明ができない。
「まあ、そうなんだけど。噂も聞いていたからね、派手だな君は」
「あれを僕の所為のように語られても困るんだよなぁ」
「火の無いところに……ってね。まあいいさ。本当は他にも数人来る予定だったんだけど。話はいいとさ、なんでかわからないけど。だから俺は代表だ。お達者でって……見納めになりそうだしさ」
「なんとなく察しはつくよ」
「ふぅん? ま、いいや。おみやげ。これは私物。島外からのね」
「絵の具?」
「魔力に反応して、魂の色が着く。感情でも色が変わる。不思議な絵の具さ。少々値が張るが別にべらぼうに高いものじゃない。受け取ってくれ」
受け取った掌にはそうとしか形容できないものが置かれていた。ラベルには何色とも描かれていない。そして、彼は差し出したままの掌を上に向けて何かを待っている。
「代わりになにかくれよ」
「なにかって……こんなものくらいしかないなぁ」
ジャラジャラと数枚の異世界銅貨のレプリカを取り出そうとしたところ、銅貨の袋ごと取られた。取り返そうとしたら、もう一方の腕で押しやられる。
「……ただの銅貨?」
「故郷の銅貨のレプリカさ。魔術王国の複製品だからね、値打ちは無いが価値はある」
「なにか不思議なちからでも?」
「幸運を呼び込む」
「……はぁ、開運グッズじゃないんだから。まぁ、これでいいや。用はコレだけ。それじゃあ、お達者で。コレ持ってたらまた会うこともあるんじゃないかな。その時はまたヨロシク」
「あ、おい……まったく。しょうがないなぁ」
最後まで騒がしい日々だったなと頭をかく。そんなマイトの様子を見ながらエウリーネは隣でさえずるように笑っていた。

 小難しいことは、もういいんだ。
 ヒントじゃなくて、答えを――みんな、あいしてる。

そうして彼は車椅子の上に腰掛けて船に乗り込んだ。島内の部品で身体を補っていた彼は立ち上がることもできなくなってしまうためだ。船は間もなく島を離れる。船上、島を見送り見送られ。四人のパーティメンバーとその妹。鎧の姿、昨日共に騒いだ者たちの姿もチラホラと見える。その中に鴉丸 蒼夜と並んでいる男の姿が見え――再開の予感を孕み、船は行く。
マイト・カルフール。傍らにはエウリーネ・ティニアが寄り添って離れいく島を眺めている。失われていく思い出を忘れないように、エウリーネは音にする。足りないものを補うようにマイトの詩が流れる。合わされば、それは魔法になる。

 常に 遠く 胸に 届く
 君に 高く 夢を 繋ぐ

テーマ : 栗鼠ゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

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装備なし時は経験値稼ぎどうぞ。

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