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【偽島 終章 四話(前) / 夢を 繋ぐ(Summer Vacation)】

【注】
いきなり文章が前面手直しされたりもしますが
「ちっ、あいつめしくじりやがったな! ファック!」
と、寛大な心で胸の内に留めて置いてください。

【四話(前) 登場人物】
Eno:0721 マイト・カルフール(Axion長 魔術師人形)
Eno:0015 エウリーネ・□□□□(Axion副 羽根つき歌姫)
Eno:0054 クレイグ=レイヴァース(Axion副 古代種戦士)
Eno:0214 月城 紗雪(Axion 羽根つきお嬢様)
Eno:0314 葛葉 玖条(Axion 戦闘狂化け狐)
Eno:0704 ベラ・ベアトリクス(Axion 守銭奴)

Eno:0093 Cellena D. Rayfrost(Triad Chain 一番隊 半吸血鬼)
Eno:0656 アーヴィング=アルグリフ(Triad Chain 一番隊 長髪訛り冒険家)
Eno:0707 PHNX-429 ALTACIA(Triad Chain 一番隊 人形兵器)

Eno:0001 アリエス=マークフェルド(少年 秘密の28cm)
Eno:0131 シリル=G=アンセム(ハーフエルフ ばいんばいん)
Eno:0717 クロウ(野生少年)
Eno:1260 チューアリフラー=フォーザンメ(しっとマスク)
Eno:1455 クレア=ニーソン(眼鏡お嬢様)
Eno:1590 玉田 たま(PK ばけねこ)
Eno:1626 サプライズ・バッド・カンパニー(呪術師)

Eno:0118 唐澤 零(PK 傭兵)
Eno:1888 13(PK □□)

< * * * >

【四話(前) / 夢を 繋ぐ(Summer Vacation)】

目が覚めたとき、空は暗く天井には星が瞬いていた。目を擦ろうとして、右手不在の違和感に顔をしかめた。痛みは鈍くそのまま睡眠を求めたが起き上がる。背伸びでもしてみれば節々が痛んだ。どこもかしこもボロボロである。
「お、起きた。……もう大丈夫か?」
なにか荷物を抱えている玖条の声、なんとなくぎこちなさのある感じもするが悪くない。微苦笑を漏らし手を挙げて応えて不思議そうに見る。向こうからベラもバタバタと駆け回っている姿が見えた。覚束ない思考の糸を言葉で手繰る。
「あれ……みんな、なにを?」
「夏行事の準備だよ、せっかくだからアンタの見送りを兼ねてってさ」
「そうそう、やっぱりこういう時はパーッとやるに限るわよね」
弾む声に愉しい期待が満ちている。心音を感じながら、なぜだか目頭に熱を帯びて涙目を欠伸でごまかした。気が緩むとすぐに涙腺まで緩むのだから堪らない。でも、こんな時に聞こえてくるものがない。足りない旋律。
「……エウリーネは?」
「風邪引いて、屋敷で休んだままよ。安静にしてれば治ってると思うけど」
「迎えに行ってやれよ、大将」
二人の言葉に視線届かぬ闇の先に投げて、心の奥で鳴る音が跳ねる。焦燥感を感じる衝動を深呼吸で束ねて、マイトは返事も半ばに走り出した。
「――わかった。行ってくる、準備は任せた」

マイトは走りながら何を言おうか考えた。なにか色々と言うべきことはあったはずだが、グチャグチャでまとまらない。最近はまとめきれない事ばかりで心が忙しすぎる。彼女の顔を見れば、それだけでいいのかも知れない、成り行きに任せよう。論理を超えて湧き出る感情に任せて彼は走る。目的地はもうすぐだ。

エウリーネはベッドに横向きに寝かせられ毛布を掛けられていた……彼女が仰向けに寝ることはない、翼が折れてしまうから。別荘でもある遺跡外の屋敷の二階が彼女の部屋。枕元には薬が置かれ、水差しとコップは月光を屈折させている。その窓枠に影が落ちる、片腕の青年が枠に足をかけて窓の鍵を解き、ゆっくりと開け放って風は緩やかに部屋を巡って駆け抜けた。

「迎えに来たよ、おいで」
前髪を風に撫でられて少女は目を覚ます。月灯りを背に魔術師は手を差し伸べた。伸びた手が重なり魔術師の懐に抱き寄せられる。少女はそのとき初めて魔術師の右腕が無いことに気付いた。
「腕、どうしたの?」
「後で話すよ」
柔らかく笑って少女を片腕で抱き上げると、夜風に晒された魔術師の身体が窓枠から空に踊った。数多の魔法陣が空に浮かんで魔術師の足場となり瞬くように現れ消えていく。魔術師の目は昨日を思い返すように千年以上も前を想い、遠い未来を願った。
「……エウリーネ。僕は島を出る、一緒に来てくれないか」
魔術師の胸のうちで少女の顔が上がり、沈黙に耐えるように目を細める。少女の腕に力が篭められ魔術師の胸を強く掴んだ、豊かな胸が上下して深い呼吸を繰り返して応えた。
「おとうさんのところに寄って」

屋敷の一階で窓の外に写る夜空を彩る魔法陣のアーチを見ていた男は、それが急降下して彼の前に二人の影を引き連れて来ても驚くことはしなかった。窓を押し開き、月明かりを隔てて二人と対峙する。黙ったまま娘の言うことを待った。魔術師の腕から降りて寄り添いながら、緊張を飲み込み少女は声を高く届けた。
「わたし、島から出て行きます。マイトと一緒に」
「……そうか」
男は短く告げ、眼鏡を押し上げ表情を隠した。随分と前から予想したことだった。今更なにを云うことがあるというのか。いや、意外と云えば意外でもあったか。率直に思ったことを口に出した。
「挨拶に来てくれるとは思わなかったな」
紅い髪の魔術師に向けて投げる。張り詰めるでもないが時間の感覚が狂うような柔らかな緊張感の中で魔術師は遠く微笑んだ。
「僕を、うらみますか」
「まさか……娘を頼む」
男の呟きに魔術師が頷いて応える。男の眼鏡の奥で瞳が揺れたが、指先で眼鏡を押して堪えた。魔術師が背を向け、その視線の先に魔法陣の階段が夜空に架かる。屋敷に背を向け階段を昇る途中で少女は振り返り、夜にないた。
「さようなら――おとうさん」

< * * * >

朝焼けを安宿で二人迎えて一眠りすれば昼過ぎ。ゆっくりと食事をとってから二人は仲間の下へと赴く、その途中。なにか意味不明の呼び声を受けてマイトは振り返った。
「あ、壊れちゃう人だ。おーい」
「……たまちゃんか、変な呼び方しないでくれよ」
振り返るとぼんやりとした子供がいた。見る人が見れば尻尾でも見えそうな迂闊さのそれは、化け猫の 玉田 たま である。会って早々に面白そうに近寄ってくる、とはいえ手の届く範囲には入ってこないのだが。
「えー、なんか噂になってるよ。"これ以上ダメ"とか"壊れちゃう"とか言わせてたとか、そんな話をさっきお姉ちゃんが話してるの聞いて――言わせられてたお姉ちゃんが隣の人?」
『はぁい?』

たまをガックンガックン揺さぶりながら聞いた話をもとに二人は駆け出した。遺跡内での話だろう、なんの腹いせか悪戯か知らないが黙っておける内容でもない。釘を刺しておく必要がある。宴の準備もひと段落ついたのか、たまり場に駆け込んだ先には全員が揃っていた。レイが静かに声を掛けてくる。
「無事に連れてきたか。準備はあらかた終――?」
言葉を続けるレイを押し退け、口を指で塞ぐ。意味が解らずに沈黙しては疑問符を浮かべて道を譲った。他三人の前に歩み出て見下ろす。
「なんか僕等に関しての変な噂が広がってるんだが、心覚えはないかなキミタチ」
顔を見合わせる三人。事情を話すと三人ともが沈黙した。心当たりがあるようだが、難しい顔をしている。どういうことか詰め寄る。そして薄々とマイトとエウリーネも思い当たることがあった。あの時、少し前に出会った一団がいたことを。
「アタシ達じゃねぇよ、それ。あの場には他にも人が居たんだ」
「ええ、Triad Chainの……」
「一番隊か!」
全部を聞き終わらないうちにマイトはアテも適当に駆け出していた。
「ちょっと問い質してくる。ついでに夜暇そうなの、皆も呼んできてくれ」
言葉だけを残して去った後姿を見送りながら、残された5人は暫し呆然としクスクスと笑いあった。出て行った彼の顔がなにかとても嬉しそうに見えたから。

噂話の元、セレナは岩に腰掛け指を動かしながら諳んじるように語り、その話を聞いているアリエス少年は頬を掻きながら顔を赤らめて困った顔を浮かべていた。なにか話題を変えようと試みたが失敗に終って今に至る、人生経験の差が出ていた。
「あ、あはは、相変わらずなんだねー」
「森の中で"壊れちゃう……!"なんて聞こえてきたら、びっくりするでしょ? ひと目を忍んでいたって遺跡内でなんてねぇ。魔法陣を前にしてまで我慢できなかったのかしら」
「……少年にあまり変なこと吹き込まないで欲しいな、鎖の」
二人の会話に割り込んで、セレナに背後から片腕をまわす影。アリエスには助け舟の声。
「あー、ばれちゃった」
「まったく鵜呑みにするんじゃないぞ、少年」
悪びれもせずに小さく舌を出すセレナにため息をついて、絡ませた腕を解くとマイトはアリエスに告げた。アリエスは一瞬嬉しそうに名前を読んで、すぐに険しい顔でその姿を見咎めた。
「マイトさん……その腕?」
「もう身体もボロボロでね。僕はエウリーネと島を離れることにしたんだ。今日は別れの挨拶ついでに変な噂を広めてるやつを問いただしに来たんだよ。まったく拡大解釈したゴシップを広めてくれて」
「あんなのをうっかり立ち聞きされるとか、脇が甘いんじゃないのー?」
「聞き耳立ててるほうも趣味悪い。もう言いふらさないでくれよ」
「知られちゃあね……これ以上はやめとくわ。もう噂広まってる気がするけど」
半目で口元を抑えて意地悪く笑ってみせるセレナに苦い顔で抗議すれば、あっさりと彼女は了承した。聞き分けがいいのも暇つぶしが済んだからだろう、どの程度まで噂は広がっているのか想像してマイトは頭を抱えた。アリエスは様子を見てから尋ねた。
「別れの挨拶って、そんなに?」
「ん、再起不能。これでも保ってくれたほうさ」
「そうなんですか。なんか寂しいです……でも、一緒ってところはおめでとうございます」
「ありがとう。そうだ、今夜は宴開く予定だから時間あれば歓迎するよ」
「今夜か……明日出発だからね、私は時間ないかも」
「マイトさん、僕もごめん。行きたいんだけど」
「仕方ないな。なら尚更、いま会えてよかったよ」
(手のかからない子供ってのも、また寂しいな。)
マイトはアリエスの頭をクシャクシャっと撫でた。素直に受け入れる少年の様子を見て胸中に勝手なことをごちる。ゆっくり手を離して涙がこぼれそうで背を向けた。涙声にならないように気を払うと、背中越しに手を振り歩き出した。最後まで格好をつけるべきだと。
「二人とも、幸運を。無事を祈るよ」
「自分の心配してなさい、さよなら色男さん」
「また会えますよね」
「ああ、会おうと思えば。またな」

散々駆け回って気付けば夕刻だった。アーヴィングとアナスタシアにも会って話をしたが、噂を広めていたのはセレナ一人だったようだ。その一人のおかげでだいぶからかわれるハメになったわけだが。今も、後ろからしっとマスクを被った何物か――カルフォだろう――から追いかけられている。暇なやつめ。
「おー、あんちゃん楽しそうだねー」
「お、クロウ。あいつ足止めたのむ!」
「えー」
「あとでバーベキューするから好きなだけ肉食っていいぞ」
「おっけい! がうー」
「ええい、じゃまぁをするなぁあ!」
滝のような涙と汗を流しながらもつれあうしっとマスク。文字通りの肉欲に支配されて暴れるクロウ。夏の夕暮れ、浜辺でじゃれあう二人を置いてマイトは逃げ出した。

「やっと帰ってきたーにゃー」
「あ、おかえりー」
「先いただいてるわよ」
「今晩は、お邪魔しています」
「ただいま、流石にイベント近いと集まりも違うな」
浜辺の一角、会場にたどり着けば たまの声を皮切りに矢継ぎ早に挨拶が交わされた。パーティメンバーを除いて目に付く範囲でもシリル、クレア、たま、それにバッドカンパニーの姿も見える。そのほかにもパーティメンバーの知り合いやらで賑わっていた。
「ほら、折角主役も揃ったことだし。改めて乾杯の音頭でも取ってよ」
シリルが酒を満たしたコップを押し付けてくる。それを慌てて受け取れば、ベラがエウリーネを引っ張ってきてマイトの横に押し付けた。注目が集まる。
「あー、まずは集まってもらってありがとう。ええと、僕等……駆け落ちします」
『おおおおおおおお』
勢い口走った台詞に、歓声が上がる。しっとマスクが宙を舞い爆竹をばら撒いた。上空で破裂する。逃げ惑うひと、怒号と悲鳴と囃し立て。ぼこぼこにされるしっとマスクことチューアリフラー=フォーザンメ。レイに引き摺られて撤収していく。落ち着いたところで咳払い。マイトは続けた。
「色々あって、僕等は先に島を去るけれど。ここまで来れたのは彼女と皆のおかげなのは疑いない。ありがとう、感謝を。それじゃ……乾杯!」
『乾杯!』
グラスが一斉に高く掲げられた。ひと飲みすれば話が各所でまた咲き始める。

「羨ましいわねーほんと、大事にしなきゃだめよ」
「だいぶ飲んでるなぁ、お酒臭い」
「あら、まだまだよ。ほら貴方も飲みなさい」
「飲んでるよ、やっぱりお酒臭いって」
「そんなに言うならこうしてやるー」
「ががもがもが」

「……ひどいめにあった」
「大変ですね。水どうぞ」
「ありがとう。君も来てたんだな」
「ええ、興味本位で。噂聞きましたよ」
「あれは誤解なんだけどね」
「そうなんですか。口紅ついてますよ、拭いた方が」
「あ、ああ……」
「ふふ。噂通りでないとしても、誤解されても仕方ありませんね」
「……」

「おにく♪ おにく♪ ほにふ♪」
「食べながらしゃべらないように」
「こ、この程度でぇ……しっとの炎を消せると思うなよぉ」
「まだ居たのか……」
「ふむ、興味深い。精神が肉体を超えはじめているようだ」
「そんな冷静に分析されても困るんだけどね」

時間はどんどん過ぎて、徐々に人もまばらに。宴も終わりを迎えつつあった。主役として人にもみくちゃにされたエウリーネは目を回して休み、マイトも少し離れた岩場で休んでいた。ようやっと酒を舐めるようにちびりちびりと飲み始めて、喧騒の名残を吸い込んでいる。あまり感傷的になれば泣いてしまいそうだ。
「この島を去るそうだな」
その声は不意に背中から聞こえた。岩場に腰掛けているマイトとは背にした岩を挟んで反対側か。姿は見えないが潮騒に紛れて響いてくる――唐澤 零 の声。
「ああ……君にもお別れを言わなきゃな。折角だ顔出していかないか」
「必要ないさ。本音を言えば去る君に興味もない」
「そうか。本当に挨拶だけしに来たのか」
「いや、道案内だな。君にお客さんだよ」
「ん?」
「こんばんは」
「あ゙~」
唐澤が案内してきた客の声にマイトは頭を抱えた。なんだろうこの組み合わせは何か罠にでも嵌められてる心持ちで暗くなる意識を繋いだ。酒で酩酊でもしたかったが気の抜けた発泡酒じゃそれもままならない。
「あら、お祝いしに来たのに酷い。幸せそうね」
「それは、ありがとう……見てたのか」
「ええ」
頭を掻いて深呼吸。肩の力を抜いて何も考えずに出てきた言葉で返す。
「うん、幸せだよ。僕には出来すぎだったかな」
「今日は随分率直ね」
「そんな日もあるさ、もしかしたらそんな日々になるかもしれない」
「ふぅん……水を挿そうと思ったけど、やめておこうかしら」
「君も顔を出さないのか?」
「悪い冗談になってもいいの?」
「今更さ。その気があるなら歓迎するよ」
「これは私の負けね」
「そうかな」
「そうよ。さようなら前世で死に別れた王子さま」
「さようなら、前世でのお姫様」
勿論その頃には唐澤の気配などとっくに足音もなく彼女と共に消えていた。

テーマ : 栗鼠ゲーム
ジャンル : オンラインゲーム

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